
取材って、なんだか怖い……



相手にうまく話を聞けるだろうか?



沈黙になったらどうしよう?
ライターを目指す人や駆け出しの頃には、そんな気持ちを抱く人が少なくありません。そして、このような不安から、最初の一歩がなかなか踏み出せないという声をよく耳にします。
でも、それはあなただけじゃありません。
プロのライターでも、最初はみんな同じような悩みを抱えていたはずです。取材は「経験を積めば怖くなくなる」ものではありますが、それより前に、「怖さ」とどう向き合うか、その心構えを知っておくことが大切です。
本記事では、「取材が怖い」と感じる人にありがちな“あるある”を取り上げながら、それをどう乗り越えていけるのか、実際のマインドセットやちょっとした工夫を紹介していきます。
この記事が、取材ライターとして第一歩を踏み出したいあなたの背中を押せたらうれしいです。
あるある①:質問が思いつかなくて不安になる
取材の前日、メモ帳を前に「何を聞けばいいんだっけ…?」と頭を抱えた経験、ありませんか?
ライター初心者にとって、「質問が浮かばない」ことは大きな不安材料となります。現場で「何か聞かなきゃ」と焦ってしまうと、かえって会話がぎこちなくなってしまうことも。
しかし実は、「いい質問」が必要なのではなくて、「準備」が不安をやわらげてくれるんです。
たとえば、取材対象者のSNSや過去のインタビュー記事、関連するニュースをチェックして「この人にしか聞けないこと」を数個メモしておくだけで、安心感がぐっと増します。
さらにおすすめなのは、「ざっくり話を聞きたいテーマ」と「絶対に聞いておきたいこと」を分けて整理しておくこと。話の流れで脱線しても、軸がぶれずに戻ってくることができます。
完璧な質問リストを作る必要はありません。「相手に興味を持っている自分」を確認するための準備が、あなたの不安を取り払ってくれるはずです。
あるある②:沈黙が怖くて焦る
取材中に訪れる“沈黙”。シ〜ンとなった現場は気まずいものですよね。
それが怖くて、とにかく何かを話さなきゃ!と焦ってしまうのも、ライター初心者にありがちな悩みです。
質問の答えが返ってきた直後にすぐ次の話題に飛んでしまったり、沈黙を埋めようとつい余計なことを話してしまったり…。そんな経験、ありませんか?
でも実は、「沈黙」は悪者ではありません。むしろ、相手が言葉を選んでいたり、記憶をたどっていたりする貴重な時間なんです。少しの間を置いて、「…あ、そういえば」と深い話が飛び出してくることもよくあります。
大事なのは、沈黙を“会話の間”として受け入れること。すぐに次の質問をかぶせるより、相手のペースを尊重して「この沈黙には意味があるかも」と思って待つ。
その“待つ勇気”が、取材の質を大きく変えてくれます。
私は、15秒を目安に待つことを心がけています。緊張している中での15秒は長く感じるかもしれませんが、人によっては回答するのにそれくらいの時間を要することも少なくありません。
沈黙の瞬間こそ、相手が何かを掘り起こそうとしている時間です。怖がらずに、静けさの中にある声に耳を澄ませてみましょう。
あるある③:うまく話を広げられない


取材中、相手の答えにうまく反応できず、会話がポツリポツリと止まってしまう…。
「話を広げたいのに、どう返せばいいかわからない」——これは、多くのライター初心者が感じるもどかしさです。
でも実は、「話を広げなきゃ」と意識しすぎることが、かえって自然なやりとりを難しくしてしまう原因にもなります。
取材は、スムーズな“インタビューショー”ではなく、あくまで人と人との会話。だからこそ、「完璧な返し」よりも、「この人の話、おもしろいな」と感じる素直なリアクションや、自然な相づちの方が大切なんです。
たとえば、「えー!それは意外です!」とか「そこ、もう少し詳しく聞かせてもらってもいいですか?」といった反応は、話を広げる魔法の一言。話を深掘りしようという姿勢が、相手にも伝わります。
取材を“仕事”としてガチガチに構えるよりも、“会話を楽しむ時間”だと考えてみてください。自然体でいられることで、話も広がりやすくなりますし、相手の心もほぐれていきますよ。
あるある④:最初の一歩が踏み出せない
「取材してみたいけど、自分なんかが話を聞いていいのかな…」
そんな気持ちで、最初の一歩が踏み出せずにいる人は少なくありません。特に、ライター経験が浅いと「相手に迷惑かけたらどうしよう」と気後れしてしまいますよね。
でも、いきなり有名人や専門家に取材しなくても大丈夫。最初は、家族や友人、身近な人に話を聞くところから始めてみましょう。
たとえば「最近どんなことで悩んでる?」「子どもの頃の夢って覚えてる?」そんな何気ない会話の中にも、“取材”の要素はたくさん詰まっています。
実際にやってみると、「意外と話を聞くって面白い!」と気づけたり、「質問ってこうやって広がるんだな」と自然に学べる瞬間がたくさんあります。
しかも、相手が身近な存在だからこそ、緊張も少なく、トレーニングにぴったりなんです。
大事なのは、「完璧な取材」を目指すことではなく、「人の話を聞いてみたい」という好奇心を少しずつカタチにすること。あなたの第一歩は、もうすでにすぐそばにあります。
まとめ:取材の本質は「聞くことを楽しむこと」


取材にまつわる“怖さ”は、決して特別なことではありません。質問が浮かばない、沈黙が気まずい、話が広がらない、自信がない——そのどれもが、誰もが通る道です。
でも、その不安の正体に目を向け、少しずつ向き合っていけば、「取材」はぐっと身近なものになります。ポイントは、完璧を目指すのではなく、「人の話に興味を持つこと」「その人の物語に耳を傾けること」を自分なりに楽しむこと。
そして、取材は特別なスキルや経験がなければできないものではありません。まずは身近な人と対話してみる。それが立派な“取材の第一歩”です。
あなたの「聞いてみたい」という気持ちは、取材相手の「話したい」思いに届くはず。
ぜひその一歩を、踏み出してみてくださいね。
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